イタリア最南端、地中海に浮かぶシチリア島。その東南部には、古代ギリシャの記憶を今も色濃く残す美しい街々が点在しています。今回ご紹介するのは、神話の世界に迷い込んだような非日常体験ができる、シラクーサとノートの旅です。
白く輝く朝の街——オルティージャ島

シラクーサのオルティージャ島の朝は、まるで映画のワンシーンのよう。淡い砂色の街並みに、ゴシック調の白い建物が並び、足もとに続く石の道までが朝陽を受けて輝いています。


滞在しているホテルの向かいのバルコニーで、女性が読書をしていました。部屋から出てきた小さな男の子が私に気づき、手を振ります。バルコニー越しに会話が始まりました。
北欧から家族で来ているという彼女は「シラクーサが好き
でもう10回目よ」と笑顔で話してくれました。このような何気ない交流こそが、旅の醍醐味かもしれません。
紀元前5世紀の神殿が今も息づく大聖堂

午前9時ごろ、オルティージャ島の中心にあるドゥオーモ広場へ向かいました。そこにそびえる大聖堂は、紀元前5世紀のアテナ神殿をそのまま土台に建てられた、驚くべき建築物です。

外観はバロック様式の華やかさを持ちながら、内部にはギリシャの円柱がそのまま壁の中に残っています。神殿から教会へ、信仰が姿を変えながら2000年以上生きてきた建築。その重厚さと古代の祈りの原型のような圧倒的な存在感に、思わず震えました。
イオニア海を望む岬——神話と共に生きる街
大聖堂から徒歩10分ほど、オルティージャ島の岬へ向かいます。青く光るイオニア海とマニアーチェ城の外観が美しく調和しています。岬にはイカロスの像が立ち、訪れる人々を迎えています。

シラクーサはアルキメデスの生誕地でもあり、アテナやアルテミスにゆかりのある街。21世紀の今になっても、そこここにギリシャの神々が息づいています。神話とともに生きているような、不思議な魅力を持つ街です。
時空を超える体験——ネアポリス考古学公園
ノートへ向かう前に、ネアポリス考古学公園を訪れました。ここには古代ギリシャの遺跡が保存されています。
特に印象的だったのは、岩をくり抜いて造られたギリシャ劇場。今も春の演劇祭で公演が行われるそうで、2000年以上前の空間で演劇を鑑賞できる時空を超えた体験ができると聞き、興奮を抑えられませんでした。
ヨーロッパの南の果て、シチリアは古代ギリシャの記憶を今も宿しています。それがイタリア本土とはまた違う、独特の表情を生んでいるのだと実感しました。
試練の移動と親切な人々
午後、シラクーサ駅からバスでノートへ向かいました。実はこの移動が最大の難関でした。



Google Mapによると電車が走っているはずなのですが、何らかの理由で列車が運休し、臨時バスが出ているとのこと。何度も駅とバス停を行き来し、人に聞いても皆バラバラなことを言う状況に困惑しました。
そんな私を見かねたのか、駅員さんが走って追いかけてきて、バスに乗るまで付き添ってくれました。言葉が通じなくても、困っている旅行者を助けようとする温かさに触れ、心が温まりました。
白亜の街ノート——開放感あふれる美しさ

1時間ほどバスに揺られて到着したのがノート。観光客が少なく、地の果てまで来たような気持ちになります。シチリアの異国感は本当にすごい。

ポルタ・レアーレ門をくぐり抜けると、広い目抜き通りがまっすぐ続いていました。シラクーサに比べて全体的に道幅が広く、開放感があります。

こちらも白亜の街で、重厚感のあるゴシック建築が立ち並んでいます。傾いた日が建物にあたり、ややオレンジがかって輝く様子は息を呑むほど美しい。

空が広く、街の向こうに緩やかな丘陵が見えます。開放感があって、おおらかな雰囲気を持つ街だと感じました。

旅のヒント
移動について: シチリアの公共交通機関は突然の運休や変更があります。時間に余裕を持ち、現地の人に積極的に聞くことをおすすめします。
滞在時間: シラクーサは最低2泊、ノートは日帰りまたは1泊がおすすめ。ゆっくり街を歩き、地元の人との交流を楽しむ時間を持ちたいものです。
ベストシーズン: 春と秋が観光に最適。夏は非常に暑くなるため、朝早い時間帯の観光がおすすめです。
まとめ
シチリア東南の旅は、古代ギリシャの神話と歴史が今も息づく、特別な体験でした。美しい建築、青い海、温かい人々。イタリア本土とは異なる独特の魅力を持つシチリアは、一度訪れたら何度でも戻りたくなる場所です。
次の旅先を探しているなら、ぜひシチリア東南部を候補に入れてみてください。神話の世界に迷い込んだような、忘れられない体験があなたを待っています。
この記事は「シチリア東南の旅は続く——神話の街シラクーサからノートへ」の転載です
元記事:https://note.com/pichikyo/n/n7c408e4697e2



